企業版ふるさと納税の人気プロジェクト10選!事例とメリット解説

「経営層から企業版ふるさと納税の活用を検討するよう言われたが、どのプロジェクトに寄付すれば良いか分からない…」 「他社はどんな風に活用しているんだろう?具体的な成功事例が知りたい」

企業の経営企画やCSRご担当者様の中には、このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

企業版ふるさと納税は、税制上の大きなメリットがあるだけでなく、企業のブランドイメージ向上や新たな事業機会の創出にも繋がる、非常に戦略的な制度です。しかし、数多くのプロジェクトの中から自社に最適なものを見つけ出すのは簡単ではありません。

そこでこの記事では、企業版ふるさと納税の専門家として、今注目されている人気のプロジェクトをテーマ別に紹介します。さらに、制度の基本的な仕組みから、具体的な企業の活用事例、寄付の始め方まで、担当者が知りたい情報を網羅的に解説します。

この記事を読めば、企業版ふるさと納税の全体像を理解し、自社に合ったプロジェクトを見つけるための具体的な第一歩を踏み出せるはずです。

テーマ別・注目の人気プロジェクト一覧

企業版ふるさと納税の対象となるプロジェクトは、全国の自治体から数多く公募されており、その内容は多岐にわたります。ここでは、特に企業からの関心が高い「SDGs・環境」「人材育成・教育」「まちづくり・地域活性化」「DX・スタートアップ」の4つのテーマに分け、注目の人気プロジェクトの傾向を紹介します。

SDGs・環境保全に関するプロジェクト

企業のESG経営への関心の高まりを背景に、環境問題に取り組むプロジェクトは非常に人気があります。自社の環境目標と連携させることで、より効果的なPRが可能です。

  • 脱炭素社会の実現 再生可能エネルギーの導入支援や、地域の森林資源を活用したカーボンオフセットの取り組みなど。企業の環境貢献活動として分かりやすくアピールできます。
  • 生物多様性の保全 希少な動植物の保護活動や、里山・海洋環境の保全プロジェクト。地域固有の自然を守る活動は、企業の姿勢を示す上で大きな意味を持ちます。
  • サーキュラーエコノミーの推進 地域の廃棄物削減やリサイクル率向上を目指すプロジェクト。3R(リデュース、リユース、リサイクル)に関連する事業を行う企業との親和性が高いです。

人材育成・教育支援に関するプロジェクト

次世代を担う人材の育成は、持続可能な社会の実現に不可欠です。未来への投資として、多くの企業が注目しています。

  • デジタル人材の育成 小中学生向けのプログラミング教育や、社会人向けのリスキリング講座の開設支援など。IT企業などが専門知識を活かして貢献しやすい分野です。
  • グローバル人材の育成 海外留学支援や、地域にいながら国際交流ができるプログラムの提供。企業のグローバル戦略と結びつけて支援する事例も見られます。
  • 地域課題解決を担う人材育成 地域の課題をビジネスで解決する起業家や、伝統産業の担い手を育成するプロジェクト。地域に根差した人材を育てることは、地域経済の活性化に直結します。

まちづくり・地域活性化に関するプロジェクト

地域の魅力を高め、交流人口や関係人口を増やす取り組みは、地方創生の根幹をなす重要なテーマです。

  • 観光資源の磨き上げ・関係人口創出 歴史的建造物の改修や、新たな観光コンテンツの開発、ワーケーション施設の整備など。観光業や不動産業との連携が期待できます。
  • 伝統文化・祭りの継承 後継者不足に悩む伝統工芸の技術継承や、地域の祭りの運営支援。日本の文化を守るという大義名分があり、共感を呼びやすいプロジェクトです。
  • 空き家・遊休施設の活用 空き家をリノベーションして移住者向けの住居やコミュニティスペースとして再生するプロジェクト。社会問題化している空き家問題の解決に貢献できます。

DX推進・スタートアップ支援プロジェクト

デジタル技術を活用した行政サービスの向上や、新たな産業の創出を目指すプロジェクトも注目されています。

  • 行政手続きのオンライン化 自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、住民の利便性を高める取り組み。システム開発会社などが技術力で貢献できます。
  • 地域発スタートアップの支援 インキュベーション施設の整備や、起業家と投資家を繋ぐイベントの開催など。新たなイノベーションの土壌を育む支援です。

企業版ふるさと納税とは?制度の仕組み

企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄付を行った場合に、法人関係税から税額控除される仕組みです。「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」とも呼ばれます。

まずは、制度の基本的な仕組みを理解しておきましょう。

個人版ふるさと納税との3つの違い

個人版のふるさと納税と混同されがちですが、企業版は全く異なる制度です。主な違いは以下の3点です。

比較項目 企業版ふるさと納税 個人版ふるさと納税
寄付の主体 企業(法人) 個人
税の優遇 法人関係税の損金算入+税額控除 所得税・住民税の控除
返礼品 禁止 あり

特に重要なのは、企業版ふるさと納税では寄付の代償として経済的な利益を受け取ること(返礼品など)が禁止されている点です。これは、企業の純粋な地域貢献を促すためのルールです。

税額控除の仕組みとシミュレーション

企業版ふるさと納税の最大の魅力は、高い税制優遇にあります。寄付額のうち、最大で約9割に相当する額が法人関係税から控除されます。

この税優遇は、2つの仕組みで構成されています。

  1. 損金算入による軽減効果 寄付額の全額が損金として算入されるため、法人税等の軽減効果があります。(寄付額 × 法人実効税率(約3割))
  2. 税額控除による軽減効果 損金算入による軽減効果に加えて、寄付額の最大6割が法人住民税や法人事業税などから直接控除されます。

【シミュレーション例:1,000万円を寄付した場合】

  • 損金算入による軽減効果: 1,000万円 × 約30% = 約300万円
  • 税額控除: 1,000万円 × 60% = 600万円
  • 合計の税軽減額: 約300万円 + 600万円 = 約900万円
  • 企業の実質負担額: 1,000万円 - 約900万円 = 約100万円

このように、実質約1割の負担で、10倍の額の地域貢献が実現できるのが、この制度の大きな特徴です。

対象となる事業と寄付の下限額

寄付の対象となるのは、地方公共団体が作成し、内閣府の認定を受けた「地域再生計画」に記載された地方創生事業のみです。また、1回あたりの寄付額は10万円以上と定められています。

人材派遣で寄付する「物納」の特例

企業版ふるさと納税には、金銭の寄付だけでなく、専門的な知識やノウハウを持つ人材を派遣することで寄付とみなす「人材派遣型」という特例があります。

これは、資金提供が難しい場合でも、自社の強みである「ヒト」を活かして地域貢献ができる制度です。派遣された人材の人件費相当額が寄付額として算定され、税制優遇の対象となります。地域とのより深い関係構築や、社員のスキルアップにも繋がるとして注目されています。

企業のメリットとデメリット

制度を活用する上で、メリットとデメリットの両方を正しく理解しておくことが重要です。

メリット1:最大9割の税負担軽減効果

前述の通り、実質的な企業負担を最小限に抑えながら、社会貢献活動の規模を大きくできる点が最大のメリットです。通常の寄付では損金算入による約3割の税軽減しかありませんが、企業版ふるさと納税では税額控除が上乗せされるため、圧倒的に有利です。

メリット2:企業のPR・ブランディング効果

SDGsやESG経営への関心が高まる中、企業版ふるさと納税の活用は、社会課題への取り組みを具体的に示す絶好の機会となります。 寄付先の自治体のウェブサイトや広報物で企業名が紹介されることも多く、企業の認知度向上やブランドイメージの向上に繋がります。

メリット3:新規事業やパートナーシップ創出

寄付をきっかけに、自治体や地域の企業、NPOなどとの新たなネットワークが生まれることがあります。これにより、地域が抱える課題を共に解決する中で、新たな事業のヒントを得たり、協業パートナーシップが生まれたりする可能性が広がります。

デメリット:「意味ない」と言われる理由と注意点

一方で、「企業版ふるさと納税は意味ない」という声も聞かれます。その背景と、活用する上での注意点を解説します。

  • 理由1:直接的な見返り(返礼品)がない 個人版と違い、モノやサービスといった直接的な返礼品はありません。そのため、短期的な経済リターンを求める企業にとっては魅力が薄いと感じられる場合があります。
  • 理由2:税負担がゼロになるわけではない 最大9割の税軽減効果はありますが、最低でも寄付額の約1割は企業の実質負担となります。あくまで「持ち出し」が発生する点は理解しておく必要があります。
  • 理由3:プロジェクト選定や手続きに手間がかかる 自社の理念や事業戦略に合ったプロジェクトを探し、自治体とコミュニケーションを取り、社内調整を行うなど、一定の手間と時間がかかります。

これらの点を踏まえ、単なる節税策としてではなく、企業の成長戦略や社会貢献活動の一環として長期的な視点で捉えることが成功のカギとなります。

目的別にみる企業の活用事例集

実際に企業はどのようにこの制度を活用しているのでしょうか。ここでは、目的別に具体的な活用事例の傾向を紹介します。

CSR活動の一環としての活用事例

企業の社会的責任(CSR)を果たす目的で、自社の企業理念や事業内容と親和性の高いプロジェクトを支援するケースです。

  • 事例の傾向
    • 製薬会社が、地域住民の健康増進プロジェクトを支援。
    • 食品メーカーが、地域の食育推進や子ども食堂の運営を支援。
    • 環境理念を掲げる企業が、森林保全や再生可能エネルギー導入プロジェクトを支援。

自社の事業領域に近い社会課題の解決に貢献することで、一貫性のあるメッセージを発信できます。

自社事業との連携を目指した活用事例

寄付をきっかけに、自社の事業展開や技術革新に繋げることを目指す戦略的な活用例です。

  • 事例の傾向
    • IT企業が、自治体のDX推進プロジェクトに人材を派遣し、新たな公共ソリューション開発の足掛かりとする。
    • 建設会社が、スマートシティ関連の実証実験プロジェクトに寄付し、未来のまちづくりに関する知見を獲得する。
    • ドローンメーカーが、災害対策や農林水産業の効率化プロジェクトを支援し、自社製品の活用フィールドを広げる。

地域課題を自社の技術やサービスで解決し、新たなビジネスモデルを構築することを目指します。

創業地や拠点への貢献を目的とした事例

自社が生まれた場所や、工場・支社などでお世話になっている地域への「恩返し」として寄付を行うケースです。

  • 事例の傾向
    • 創業の地である自治体の、文化財保護や地域振興イベントを支援。
    • 工場が立地する自治体の、子育て支援や教育環境整備プロジェクトに寄付。

地域社会との良好な関係を築き、従業員のエンゲージメント向上にも繋がる効果が期待できます。

内閣府の「企業版ふるさと納税活用事例集」

より多くの具体的な事例を知りたい場合は、内閣府のポータルサイトで公開されている公式の事例集が大変参考になります。様々な企業の取り組みが紹介されているため、自社に近い事例を見つけることができるでしょう。

(参考:内閣府地方創生推進事務局「企業版ふるさと納税ポータルサイト 事例紹介」) ※URLは直接記載できないため、検索エンジンで「企業版ふるさと納税 事例紹介」と検索してください。

寄付の始め方と税制優遇までの流れ

実際に寄付を行う際の基本的なステップは以下の4つです。

Step1:寄付したい事業・自治体を探す

まずは、自社の想いや戦略に合致するプロジェクトを探します。プロジェクト探しには、以下のサイトが便利です。

  • 内閣府 地方創生推進事務局「企業版ふるさと納税ポータルサイト」 全国の認定事業を網羅的に検索できる公式サイトです。
  • 民間のマッチングサイト(ふるさとコネクト、riverなど) テーマ別やキーワードで検索しやすく、各プロジェクトが分かりやすく紹介されています。企業の担当者向けに、相談会やセミナーを開催しているサイトもあります。
  • 南阿蘇村への寄附をご検討でしたら、このホームページの「お問い合わせ」からご連絡いただければ弊社にてサポートさせていただきます。

Step2:自治体へ寄付の申出を行う

寄付したいプロジェクトが決まったら、その事業を実施している地方公共団体に連絡を取り、「寄付申出書」を提出します。様式は各自治体のウェブサイトで入手できることがほとんどです。

Step3:寄付金を納付し受領証を受け取る

自治体から送付される納付書などに基づき、寄付金を納付します。納付後、自治体から税の申告手続きに必要となる「受領証」が発行されるので、必ず大切に保管してください。

Step4:法人税の申告手続きを行う

事業年度終了後、法人税の申告を行う際に、Step3で受け取った「受領証」を添付して税額控除の適用を受けます。具体的な申告手続きについては、顧問税理士など専門家にご確認ください。

企業版ふるさと納税のよくある質問

最後に、担当者の方からよく寄せられる質問にお答えします。

返礼品はありますか?

A. ありません。 企業版ふるさと納税では、寄付の見返りとして金銭や物品などの経済的な利益を受け取ることは法律で禁止されています。

本社が所在する自治体にも寄付できますか?

A. できません。 この制度は、都市部から地方への資金の流れを創出する「地方創生」を目的としています。そのため、本社(地方税法における「主たる事務所又は事業所」)が所在する地方公共団体への寄付は対象外となります。

寄付額に上限や下限はありますか?

A. 下限は1回あたり10万円です。上限は企業の利益額や税額によって変動します。 税額控除額には「法人住民税法人税割額の20%」「法人事業税額の20%」といった上限が設けられているため、寄付額が大きすぎると9割の控除を受けられない場合があります。

寄付の対象とならない事業はありますか?

A. あります。 事業費が確定していない事業や、特定の企業・個人だけが利益を得るような事業、単に施設を建設するだけの事業(ソフト事業を伴わないハード事業)などは、地方創生の趣旨に合わないとして認定されない場合があります。

まとめ

企業版ふるさと納税は、単なる節税や社会貢献活動にとどまらず、企業のブランド価値を高め、新たな事業機会を創出する可能性を秘めた戦略的な制度です。

この記事でご紹介したポイントをまとめます。

  • 人気のプロジェクトは「SDGs・環境」「人材育成」「まちづくり」「DX」などが中心。
  • 最大のメリットは、実質1割程度の負担で寄付ができ、高いPR効果も期待できること。
  • デメリットは、返礼品がなく、手続きに手間がかかる点。長期的な視点が重要。
  • 始め方は、ポータルサイトで事業を探し、自治体に申し出ることからスタート。

まずは内閣府や民間のポータルサイトを訪れ、どのようなプロジェクトがあるのかを眺めてみてください。きっと、自社の未来と地域の未来を繋ぐ、魅力的なプロジェクトに出会えるはずです。

熊本県南阿蘇村への企業版ふるさと納税をご検討中でしたら、弊社にてサポートさせていただきますので、お気軽にお問合せください。