企業版ふるさと納税の寄附企業実態と最大9割軽減のメリット事例解説
「企業版ふるさと納税に興味はあるが、実際にどんな企業が寄附しているのか?」「自社にとって本当にメリットがあるのか?」と疑問をお持ちの経営者や担当者の方は多いのではないでしょうか。
企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対し、企業が寄附を行った場合に税制上の優遇措置を受けられる制度です。2020年度の税制改正により、減税効果が最大9割まで引き上げられたことで、活用する企業が急増しています。
この記事では、企業版ふるさと納税の仕組みから、実際に寄附を行っている企業の属性、具体的な事例までを専門家の視点で分かりやすく解説します。
企業版ふるさと納税の仕組み
企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は、志のある企業が寄附を通じて地方創生を応援する仕組みです。まずは、企業が最も注目すべき税軽減の仕組みと、個人版との違いを整理しましょう。
最大9割の税軽減効果
企業版ふるさと納税の最大の魅力は、非常に高い節税効果にあります。
通常、法人が自治体に寄附を行うと、寄附額の約**30%が損金算入による法人税等の軽減効果として認められます。企業版ふるさと納税では、これに加えてさらに最大60%**の税額控除が上乗せされます。
- 法人住民税 寄附額の**40%**を控除(法人住民税額の20%が上限)
- 法人税 法人住民税で40%に達しない場合、その残額を控除(寄附額の10%、法人税額の5%が上限)
- 法人事業税 寄附額の**20%**を控除(法人事業税額の20%が上限)
これらを合わせると、寄附額の最大90%が軽減されるため、実質的な企業負担はわずか1割となります。
個人版との違いと特徴
個人が行う「ふるさと納税」とは、仕組みやルールが大きく異なります。
主な相違点
- 返礼品の有無 個人版では豪華な返礼品が楽しみの一つですが、企業版では寄附の対価として経済的利益を受け取ることが禁止されています。
- 控除の仕組み 個人版は「所得税の還付・住民税の控除」ですが、企業版は「法人関係税の税額控除」です。
- 寄附の下限額 企業版ふるさと納税は、1回あたり10万円以上の寄附が対象となります。
(参考:内閣府 地方創生推進事務局 企業版ふるさと納税ポータルサイト https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikizousei/kigyou_furusato.html)
寄附を行っている企業の属性
どのような企業がこの制度を活用しているのでしょうか?内閣府の調査によると、寄附件数・金額ともに年々増加しており、幅広い業種の企業が参画しています。
建設業や製造業の活用状況
地域に根ざした事業展開を行う建設業や、地方に工場を持つ製造業は、以前から積極的に寄附を行っています。
- 建設業 災害復旧やインフラ整備など、自社の事業領域に近い自治体のプロジェクトを支援するケースが目立ちます。
- 製造業 工場の立地自治体への恩返しや、雇用創出を目的とした教育支援プロジェクトへの寄附が多く見られます。
これらの企業は、地域社会との良好な関係性を維持することを重視しています。
IT企業やサービス業の事例
近年では、物理的な拠点に縛られないIT企業やサービス業の寄附も増えています。
- IT企業 地方のデジタル化(DX推進)や、サテライトオフィスの誘致プロジェクトを支援する事例が豊富です。
- サービス業 観光振興やスポーツ振興など、自社のブランドイメージに合致するプロジェクトを選定して寄附を行っています。
**どんな企業が寄附をしているか?**という問いに対しては、「地域貢献を可視化したい企業」や「特定の自治体と深い繋がりを持ちたい企業」が中心であると言えます。
企業が寄附を行うメリット
企業が寄附を行う動機は、単なる節税だけではありません。多角的なメリットが存在します。
法人税等の節税対策
前述の通り、実質負担**10%**で寄附ができるため、キャッシュアウトを抑えつつ社会貢献が可能です。利益が出ている期に、翌期の税負担を軽減する手段として有効に機能します。
自治体との新たな関係構築
寄附を通じて自治体の首長や担当者との接点が生まれます。
- 官民連携のきっかけ 寄附を縁に、自治体との共同プロジェクトや実証実験に発展するケースがあります。
- 地域課題の把握 自治体が抱える課題を直接聞くことで、新たなビジネスチャンスの発見に繋がります。
企業のPR効果とSDGs対応
寄附を行うことで、企業の社会的責任(CSR)を果たしている姿勢を内外にアピールできます。
- 広報活動への活用 自治体のホームページや広報誌に企業名が掲載されるほか、感謝状の贈呈式が行われることもあります。
- SDGs・ESG投資への対応 「地方創生」への寄附は、SDGsの目標達成に直結するため、投資家や取引先からの評価向上に寄与します。
実際の寄附事例と活用効果
具体的な事例を見ることで、自社が寄附する際のイメージが湧きやすくなります。
地方創生の具体的事例
教育・人材育成支援
- 事例 IT企業が、地方の小中学校でのプログラミング教育導入プロジェクトに寄附。
- 効果 将来のIT人材育成に貢献するとともに、企業としての教育支援姿勢をPR。
観光振興・文化財保護
- 事例 サービス業の企業が、歴史的建造物の修復プロジェクトに寄附。
- 効果 観光資源の維持に貢献し、自治体と連携した観光キャンペーンの実施に繋がった。
災害支援への寄附実績
地震や豪雨などの災害が発生した際、被災自治体の復旧・復興プロジェクトに対して寄附を行う企業も多いです。
- 迅速な支援 企業版ふるさと納税の枠組みを利用することで、スピーディーに多額の支援を行うことが可能です。
- 社会的な信頼 非常時における支援活動は、企業に対する信頼を大きく高めます。
注意すべきデメリットと制約
メリットの多い制度ですが、検討時に必ず押さえておくべき注意点があります。
返礼品禁止のルール
企業版ふるさと納税では、寄附の代償として経済的な利益を受けることは禁止されています。
- NG例 寄附の見返りとして、自治体から補助金を受け取る、あるいは入札で有利な扱いを受けるといった行為は認められません。
- OK例 感謝状の受領、HPへの社名掲載、ロゴマークの使用などは「経済的利益」には当たらないとされています。
10万円以上の寄附制限
1回あたりの寄附金額が10万円未満の場合、この制度による税額控除を受けることはできません。少額の寄附を検討している場合は注意が必要です。
本社所在地への寄附禁止
企業の本社(地方税法上の主たる事務所または事業所)が所在する自治体への寄附は、本制度の対象外となります。
- 例 東京都港区に本社がある企業は、東京都や港区への寄附でこの優遇措置を受けることはできません。
ただし、支店や工場がある自治体への寄附は、本社が別にあれば可能です。
寄附手続きの具体的な流れ
手続きは比較的シンプルですが、タイミングが重要です。
寄附先自治体の選定
まずは、自社の理念や事業内容に合致するプロジェクトを探します。
- 探し方 内閣府のポータルサイトや、企業版ふるさと納税の仲介サイトを活用するのが効率的です。
- ポイント 「どの地域を応援したいか」「どんな課題を解決したいか」を明確にしましょう。
寄附の申込みと払い込み
寄附先が決まったら、自治体へ「寄附申出書」を提出します。
- 払い込みのタイミング 自治体から納付書が届いたら、指定の方法で寄附金を払い込みます。
- 注意点 プロジェクトの実施期間内(年度内)に払い込みを完了させる必要があります。
税務申告と受領証保管
寄附完了後、自治体から「受領証」が届きます。
- 確定申告 法人税の確定申告時に、受領証を添付して税額控除の申告を行います。
- 保管 受領証は再発行が難しい場合があるため、大切に保管してください。
まとめ
企業版ふるさと納税は、実質負担1割という極めて高い節税効果を得ながら、地方創生に貢献できる優れた制度です。
**どんな企業が寄附をしているか?**という点については、建設・製造業といった地域密着型企業から、PRやSDGsを重視するIT・サービス業まで多岐にわたります。返礼品がないという制約はありますが、それ以上に「自治体とのコネクション」や「企業価値の向上」といった目に見えない大きなメリットが得られます。
まずは自社の事業と親和性の高い自治体のプロジェクトを探すことから始めてみてはいかがでしょうか。
(参考:総務省 ふるさと納税ポータルサイト https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/azaisei/furusato_nozei/)
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