企業版ふるさと納税の注目事例5選!仕組みと税制メリット解説

「社会貢献をしたいが、何から始めれば良いかわからない」「税負担を抑えつつ、企業のイメージアップを図りたい」 このようにお考えの経営者や担当者の方も多いのではないでしょうか。

その解決策の一つが企業版ふるさと納税です。企業版ふるさと納税は、企業が地方創生を応援しながら、税制上の優遇を受けられる魅力的な制度です。

しかし、「具体的にどんなことに活用できるの?」「本当にメリットがあるの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。

この記事では、企業版ふるさと納税の専門家として、具体的な活用事例から制度の仕組み、メリット・デメリットまでを分かりやすく解説します。最後まで読めば、あなたの会社に合った活用のヒントがきっと見つかるはずです。

企業版ふるさと納税の注目事例5選

企業版ふるさと納税は、全国の自治体でさまざまなプロジェクトに活用されています。ここでは、特に注目すべき5つの分野の活用事例をご紹介します。自社の事業や理念と重なるものがないか、ぜひチェックしてみてください。

(参考:内閣府地方創生推進事務局「企業版ふるさと納税ポータルサイト」 https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html)

人材育成・確保につながる活用事例

地域の未来を担う人材の育成や、自社に必要な人材の確保・育成に企業版ふるさと納税を活用する事例です。

  • 企業名 株式会社メルカリ
  • 自治体名 福岡県福岡市
  • プロジェクト概要 エンジニアを目指す学生や若手社会人を対象とした育成プログラム「エンジニアカフェ」の運営を支援。同社は福岡市に開発拠点を置いており、地域のIT人材育成を通じて、将来的な採用や技術コミュニティの活性化につなげることを目指しています。

このように、企業の事業拠点がある地域や、将来的に進出を考えている地域の人材育成に貢献することは、地域との良好な関係を築き、優秀な人材を確保する上でも有効な戦略となります。

SDGs・脱炭素社会の実現に貢献する事例

企業のSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みや、環境問題への貢献をアピールできる活用事例です。

  • 企業名 株式会社一条工務店
  • 自治体名 長野県小谷村
  • プロジェクト概要 村内の公共施設へ太陽光発電設備や蓄電池を導入する「小谷村脱炭素化プロジェクト」に寄付。再生可能エネルギーの活用を推進し、災害に強いまちづくりと環境負荷の低減を目指す取り組みです。住宅メーカーとして培った知見を活かし、脱炭素社会の実現に貢献しています。

環境への配慮は、今や企業の社会的責任として不可欠です。企業版ふるさと納税を通じて具体的な環境保全活動を支援することは、企業のブランドイメージ向上に直結します。

企業の専門性を活かしたDX推進支援の事例

自社の持つ技術やノウハウを活かして、地域のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する事例です。

  • 企業名 株式会社セールスフォース・ジャパン
  • 自治体名 北海道北見市
  • プロジェクト概要 北見市の情報発信力強化や、テレワークをはじめとする多様な働き方の推進を支援。同社の顧客管理(CRM)プラットフォームのノウハウを活かし、自治体職員向けの研修やデジタル化に関するアドバイスを行っています。

自社の専門性を地域課題の解決に活かすことは、社会貢献とビジネスの知見を深める両面で大きなメリットがあります。特にIT企業やコンサルティング会社にとって、親和性の高い活用方法と言えるでしょう。

地域ブランドの創出・発信に関わる事例

地域の特産品や観光資源を活かした新しいブランドづくりを支援する事例です。

  • 企業名 キリンホールディングス株式会社
  • 自治体名 岩手県遠野市
  • プロジェクト概要 ビールの原料であるホップの産地として知られる遠野市で、「ホップの里」としてのブランド力を高めるプロジェクトを支援。持続可能なホップ栽培の仕組みづくりや、観光コンテンツの開発などに取り組んでいます。

食品・飲料メーカーや観光関連企業などが、自社の事業と関連の深い地域のブランド化を支援することで、原料の安定確保や新たなビジネスチャンスの創出につながる可能性があります。

スポーツ・文化振興を通じた地域活性化事例

スポーツチームの支援や文化施設の整備などを通じて、地域に活気と交流を生み出す事例です。

  • 企業名 株式会社ミクシィ
  • 自治体名 千葉県船橋市
  • プロジェクト概要 同社が運営するプロバスケットボールチーム「千葉ジェッツふなばし」のホームタウンである船橋市に対し、スポーツ振興や地域活性化を目的として寄付。子ども向けのスポーツ教室の開催や、市民がスポーツに親しむ機会の創出に活用されています。

スポーツや文化は、人々の心をつなぎ、地域への愛着を育む力を持っています。地域住民との一体感を醸成し、企業の認知度向上にも貢献できる有効な活用法です。

企業版ふるさと納税とは

そもそも「企業版ふるさと納税」とはどのような制度なのでしょうか。ここでは、制度の基本的な仕組みや個人版との違いを分かりやすく解説します。

制度の仕組みをわかりやすく解説

企業版ふるさと納税とは、正式名称を「地方創生応援税制」といい、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄付を行った場合に、法人関係税から税額控除が受けられる制度です。

簡単に言うと、企業が「応援したい」と思う地域の特定の事業にお金を寄付することで、その見返りとして税金が安くなる仕組みです。

この制度は、人口減少や地域経済の縮小といった課題に直面する地方を、企業の力で応援することを目的として2016年度に創設されました。企業にとっては税負担を軽減しながら社会貢献ができ、自治体にとっては新たな財源を確保できる、双方にとってメリットのある制度なのです。

個人版ふるさと納税との3つの違い

「ふるさと納税」と聞くと、個人で行うものをイメージする方が多いかもしれません。企業版と個人版には、主に以下の3つの違いがあります。

  • 寄付の主体と税の優遇
    • 個人版 個人が寄付を行い、所得税の還付や住民税の控除が受けられます。
    • 企業版 法人が寄付を行い、法人関係税(法人住民税、法人事業税、法人税)の税額控除が受けられます。
  • 返礼品の有無
    • 個人版 寄付額に応じて、地域の特産品などの返礼品を受け取ることができます。
    • 企業版 寄付の見返りとして、返礼品のような経済的な利益を受け取ることは禁止されています。これは、純粋な地域応援を目的としているためです。
  • 寄付の対象
    • 個人版 原則として、どの自治体へも寄付が可能です。
    • 企業版 国が認定した「地域再生計画」に基づく事業のみが対象です。また、自社の本社が所在する自治体への寄付は対象外となります。

対象となる寄付と対象とならない寄付

企業版ふるさと納税を活用する上で、寄付の対象を正しく理解しておくことが重要です。

対象となる寄付

  • 国が「地域再生計画」として認定した地方創生事業への寄付
  • 1回あたり10万円以上の寄付

対象とならない寄付

  • 本社が所在する地方公共団体への寄付 (例:東京都に本社がある企業は、東京都への寄付は対象外)
  • 寄付の代償として経済的な利益(補助金の交付、入札の便宜など)を受け取るもの
  • 10万円未満の寄付

企業が得られる3つのメリット

企業版ふるさと納税は、単なる寄付ではありません。企業経営において戦略的に活用できる3つの大きなメリットがあります。

最大9割の税額控除による高い節税効果

最大のメリットは、高い税制優遇措置です。 企業版ふるさと納税では、通常の損金算入による軽減効果(寄付額の約3割)に加え、税額控除(寄付額の最大6割)が適用されます。

これにより、最大で寄付額の約9割に相当する法人関係税が軽減され、企業の実質的な負担を寄付額の約1割にまで圧縮することが可能です。通常の寄付と比べて、極めて少ない負担で多額の寄付が実現できるため、高い節税効果が期待できます。

社会貢献活動(CSR)としてのPR効果

企業版ふるさと納税の活用は、企業の社会貢献活動(CSR)として社内外にアピールできる絶好の機会です。

  • 寄付先自治体のウェブサイトや広報誌で企業名が紹介される
  • 内閣府のポータルサイトに企業名が掲載される
  • 自社のウェブサイトや統合報告書で取り組みを発信する

こうしたPR活動を通じて、「地域社会に貢献する企業」というポジティブなイメージが広がり、企業ブランドの向上や採用活動における競争力強化にもつながります。

自治体との新たなパートナーシップ構築

寄付をきっかけに、自治体との間に新たなネットワークやパートナーシップが生まれることも大きなメリットです。

地域の課題やニーズに関する情報を直接得られたり、自治体が持つネットワークを通じて現地の企業や団体とつながったりする可能性があります。こうした関係性は、将来の事業展開や新たなビジネスチャンスの創出につながる貴重な資産となるでしょう。

デメリットと注意点

多くのメリットがある一方で、企業版ふるさと納税にはいくつかの注意点もあります。「メリットがない」「意味ない」といった誤解を避けるためにも、事前にデメリットを正しく理解しておきましょう。

寄付額の最低1割は企業の自己負担

税制優遇は最大で寄付額の約9割であり、最低でも寄付額の1割は企業の自己負担となります。全額が税金から控除されるわけではないため、キャッシュアウトがゼロになる制度ではありません。あくまで企業の持ち出しが発生することは、予算計画において念頭に置く必要があります。

返礼品のような経済的見返りは禁止

個人版ふるさと納税と異なり、企業版ふるさと納税では返礼品のような直接的な経済的利益を受け取ることはできません。制度の趣旨が、見返りを求めない地域への応援にあるためです。あくまで税制優遇と、PR効果や地域との関係構築といった間接的なメリットを目的とする制度だと理解しましょう。

本社が所在する自治体への寄付は対象外

企業の本社が立地する地方公共団体への寄付は、制度の対象外となります。これは、税源の移転という本来の趣旨を逸脱しないようにするためです。例えば、大阪市に本社がある企業は、大阪府や大阪市が実施する事業には寄付できません。ただし、事業所や支店がある自治体への寄付は可能です。

寄付から税額控除までの流れ

実際に企業版ふるさと納税を行う際の、基本的な流れを3つのステップで解説します。

STEP1. 寄付したい事業を探す

まずは、自社が応援したいと思えるプロジェクトを探します。 内閣府が運営する**「企業版ふるさと納税ポータルサイト」**では、全国の自治体が登録している地方創生プロジェクトを検索できます。事業分野や地域など、さまざまな条件で絞り込めるので、自社の理念や事業内容に合った寄付先を見つけましょう。

STEP2. 寄付の申出と納付

応援したい事業が見つかったら、その事業を実施している地方公共団体の担当窓口に直接、寄付の申出を行います。具体的な手続きや納付方法は自治体によって異なるため、ウェブサイトで確認するか、直接問い合わせましょう。寄付金を納付すると、後日、自治体から税の申告手続きに必要となる**「受領証」**が発行されます。

STEP3. 税の申告手続き

事業年度が終了し、法人関係税の申告を行う際に、税額控除の適用を受けます。 STEP2で受け取った**「受領証」を添付して、税務署に申告**してください。これにより、寄付額に応じた税額が控除されます。手続きの詳細は、顧問税理士などの専門家にご相談ください。

税額控除額のシミュレーション方法

「実際に寄付した場合、どれくらい税金が安くなるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。 正確な控除額は企業の課税所得によって変動しますが、内閣府のポータルサイトには、寄付額に応じた税の軽減効果を簡単に試算できるシミュレーション機能が用意されています。

具体的な金額を知りたい場合は、ぜひ活用してみてください。 (参考:企業版ふるさと納税ポータルサイト シミュレーション https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato_simulation.html)

まとめ

この記事では、企業版ふるさと納税の具体的な活用事例から、制度の仕組み、メリット・デメリットまでを詳しく解説しました。

最後に、本記事の重要なポイントを振り返ります。

  • 企業版ふるさと納税は、人材育成、SDGs、DX推進など多様な地域課題の解決に活用されている。
  • 最大のメリットは、寄付額の最大9割に達する高い税制優遇措置。
  • 社会貢献(CSR)活動としてPRでき、企業のブランドイメージ向上につながる。
  • 最低1割の自己負担が発生し、返礼品などの経済的見返りはない点に注意が必要。
  • 寄付を検討する際は、内閣府のポータルサイトで自社に合った事業を探すことから始められる。

企業版ふるさと納税は、もはや単なる節税や社会貢献活動ではありません。**地域社会との連携を深め、企業の持続的な成長につなげるための「戦略的投資」**と捉えることができます。

この記事を参考に、ぜひあなたの会社でも企業版ふるさと納税の活用を検討してみてはいかがでしょうか。地域を元気にし、自社の未来を拓く、新たな一歩となるはずです。

弊社では、企業版ふるさと納税の活用についてサポートをしております。お気軽にご相談ください。