企業版ふるさと納税は令和7年度以降も延長!改正点を解説

「企業版ふるさと納税の期限が令和6年度末で切れると聞いたが、来年度以降はどうなるのだろう?」 「制度が延長されるなら、何か変更点はあるのか?自社の税務戦略にどう影響するか知りたい」

企業の経営者や財務・CSR担当者の皆様は、現在このような疑問をお持ちではないでしょうか。

来年度の事業計画や予算策定を進める上で、企業版ふるさと納税の動向は非常に重要な情報です。

この記事では、企業版ふるさと納税の専門家として、令和7年度(2025年度)以降の制度について、最新の公式情報に基づき、どこよりも分かりやすく解説します。

結論からお伝えすると、企業版ふるさと納税は延長が決定しており、さらに企業にとって利用しやすい制度へと改正されます。この記事を読めば、延長期間や改正のポイント、新旧制度の違いが明確になり、来年度以降の経営戦略を立てるための確かな情報を得ることができます。

【結論】令和7年度以降も5年間延長が決定

多くの方が最も気にされている結論からお伝えします。企業版ふるさと納税(正式名称:地方創生応援税制)は、令和7年度(2025年度)以降も5年間延長されることが正式に決定しました。

これまで令和6年度(2024年度)末までとされていた期限が延長されたことで、企業は今後もこの制度を活用した税務戦略や社会貢献活動を計画・実行できます。

制度の期限は令和11年度末まで

今回の延長により、企業版ふるさと納税の制度適用期限は令和11年度(2029年度)末までとなります。

中長期的な視点で地方公共団体との連携や支援を検討できるようになったことは、企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

根拠は令和6年度税制改正大綱

この延長の根拠は、政府・与党によって決定された「令和6年度税制改正大綱」です。

この大綱の中で、地方創生の継続的な推進を目的として、企業版ふるさと納税の適用期限を5年間延長することが明記されました。これは国策として本制度が重要視されている証拠です。

(参考:財務省「令和6年度税制改正の大綱」)

最大9割の税優遇措置は継続

企業の担当者が特に注目する税制上のメリットについてもご安心ください。寄付額のうち、最大で約9割に相当する税の軽減効果(税額控除)は、令和7年度以降も継続されます。

企業の持ち出し(実質負担)を寄付額の約1割に抑えながら、地域貢献が実現できるという本制度の大きな魅力は、今後も変わりません。

令和7年度からの主な制度改正のポイント

今回の税制改正では、単なる期間の延長だけでなく、企業がより制度を活用しやすくなるための見直しも行われました。主な改正のポイントは以下の3つです。

手続きの簡素化と申請要件の緩和

これまで、制度利用にあたって手続きの煩雑さが課題の一つとして挙げられていました。今回の改正では、企業の負担を軽減するため、申請書類の簡素化などが図られます。

また、寄付の対象となる事業の認定要件も一部緩和される見込みです。これにより、企業はより多様な地方創生プロジェクトの中から、自社の理念に合った支援先を見つけやすくなるでしょう。

不正防止措置の強化

制度の信頼性を確保するため、不正行為に対する防止措置が強化されます。

具体的には、寄付の見返りとして経済的な利益を供与する、いわゆる「返礼品」に類する行為への監視が厳しくなります。企業は、あくまで社会貢献を目的とした純粋な寄付であることが求められる点を、改めて認識しておく必要があります。

特に公益性が高い事業への新類型創設

今回の改正の目玉の一つとして、特に公益性が高いと認められる事業に対する新たな支援の枠組み(新類型)が創設される可能性があります。

例えば、大規模災害からの復興支援や、より専門的・広域的な課題解決に資するプロジェクトなどが想定されています。これにより、企業の寄付がさらにインパクトの大きい社会貢献につながる道が開かれます。

【比較表】新旧制度の変更点まとめ

令和7年度からの変更点を分かりやすくご理解いただくため、現行制度(令和6年度まで)と新制度(令和7年度から)の主な違いを比較表にまとめました。

比較項目 現行制度(~令和6年度末) 新制度(令和7年度~令和11年度末) 変更のポイント
適用期間 令和2年度~令和6年度末 令和7年度~令和11年度末 5年間延長
税額控除率 寄付額の最大60% 寄付額の最大60% 変更なし(損金算入と合わせ最大9割の軽減効果は維持)
対象事業 地方創生推進交付金の対象事業など 現行要件に加え、特に公益性の高い事業類型の創設を検討 対象事業の選択肢が広がる可能性
手続き要件 国への事業認定申請などが必要 申請手続きの簡素化を推進 企業の事務負担が軽減
禁止事項 寄付の代償として経済的利益を供与すること 禁止事項は維持しつつ、不正防止措置を強化 制度の透明性と公平性が向上

【最新版】企業版ふるさと納税の制度概要

ここで改めて、改正後の内容も踏まえて企業版ふるさと納税の基本的な仕組みをおさらいしておきましょう。

地方創生応援税制の目的と仕組み

地方創生応援税制とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクト(まち・ひと・しごと創生寄附活用事業)に対して企業が寄付を行った場合に、法人関係税から税額控除が受けられる仕組みです。

人口減少や地域経済の縮小といった課題に直面する地方の取り組みを、企業の力で応援することを目的としています。

税優遇の内訳(損金算入と税額控除)

企業版ふるさと納税の税優遇は、2段階の仕組みで構成されています。

  • 損金算入 寄付金を支出した事業年度において、その全額を損金に算入できます。これにより、寄付額の約3割(法人実効税率を約30%と仮定)に相当する法人関係税が軽減されます。
  • 税額控除 上記の損金算入による軽減効果に加えて、寄付額の最大**60%**が法人関係税(法人住民税、法人事業税、法人税)から直接控除されます。

この2つの措置を合わせることで、企業は寄付額の最大約9割に相当する税の軽減を受けることができ、実質的な負担を約1割まで圧縮することが可能です。

対象となる寄付の要件

制度を利用するためには、以下の主な要件を満たす必要があります。

  • 寄付額 1回あたり10万円以上の寄付が対象です。
  • 対象外となる寄付 自社の本社が所在する地方公共団体への寄付は対象外です。ただし、本社所在地の都道府県が企画する複数の市町村にまたがる事業など、一部例外もあります。
  • 見返りの禁止 寄付を行うことの代償として、経済的な利益を受け取ることは固く禁止されています。

改正を踏まえたメリット・デメリット

制度の延長と改正を踏まえ、企業が本制度を活用するメリットと、改めて注意すべきデメリットを整理します。

企業が制度を活用するメリット

  • 高い節税効果 最大のメリットは、実質負担約1割で社会貢献が実現できる高い税優遇効果です。通常の寄付では損金算入しか認められないため、税額控除が受けられる本制度は非常に有利です。
  • 社会貢献(CSR)活動の推進 地域が抱える課題解決に直接貢献することで、企業の社会的責任を果たすことができます。これは企業のイメージアップやブランド価値の向上に直結します。
  • 地方公共団体とのパートナーシップ構築 寄付をきっかけに地方公共団体や地域企業との新たな関係が生まれ、新規事業の展開や人材交流につながる可能性があります。
  • SDGsへの貢献 地方創生の取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)の多くの目標と関連しています。本制度の活用は、企業のSDGs経営をアピールする絶好の機会となります。

注意すべきデメリットやリスク

  • 最低1割の自己負担が発生する 税優遇は最大で約9割であり、寄付額の全額が控除されるわけではありません。最低でも約1割は企業の持ち出しとなる点を理解しておく必要があります。
  • 寄付の見返りは一切受けられない 補助金の交付や入札での便宜供与など、寄付に対する直接的な見返りを期待することはできません。あくまで純粋な応援としての寄付である必要があります。
  • 対象事業が限定される 寄付できるのは、国が認定した地方創生プロジェクトに限られます。自社が支援したい事業が必ずしも対象になるとは限りません。
  • 手続きに一定の手間と時間がかかる 手続きは簡素化される方向ですが、寄付先の選定、地方公共団体との調整、申請書類の準備など、一定の社内コストが発生することは念頭に置いておきましょう。

制度利用が「意味ない」と言われる理由

一部で「企業版ふるさと納税は意味ない」という声が聞かれることがあります。その背景には、主に以下の理由が考えられます。

  • 節税だけが目的の場合 自己負担が1割発生するため、キャッシュアウトをゼロにしたい企業にとっては「意味ない」と感じられるかもしれません。
  • 短期的なリターンを求める場合 直接的な経済的見返りがないため、短期的な利益を追求する視点ではメリットが見えにくいことがあります。

しかし、CSR活動、企業ブランディング、地域との関係構築といった中長期的な視点に立てば、この制度は金銭的なリターン以上の大きな価値を生み出す可能性を秘めています。

企業版ふるさと納税に関するQ&A

最後に、企業の担当者様からよく寄せられる質問にお答えします。

寄付の期限はいつまでですか?

現行制度(令和6年度まで)の適用を受けるためには、企業の事業年度内に寄付を完了させ、その事業年度の確定申告で税の申告を行う必要があります。 令和7年3月期決算の企業であれば、令和7年3月31日までに寄付を完了させる必要があります。

延長後の新制度も同様に、令和11年度(2029年度)末までに完了する寄付が対象となります。

新制度はいつから適用されますか?

令和7年度からの新制度は、令和7年4月1日以降に開始する事業年度における寄付から適用される見込みです。

正確な適用開始時期については、今後の国税庁からの正式な発表をご確認ください。

内閣府の公式情報はどこで確認できますか?

企業版ふるさと納税に関する最も信頼できる情報は、内閣府地方創生推進事務局の公式サイトで確認できます。

制度の詳細や対象となるプロジェクトの一覧、最新情報などが掲載されていますので、制度活用を検討する際は必ずご確認ください。

まとめ

本記事では、企業版ふるさと納税の令和7年度以降の動向について解説しました。最後に、重要なポイントを改めてまとめます。

  • 企業版ふるさと納税は、令和11年度(2029年度)末まで5年間延長が決定しました。
  • 寄付額の最大約9割が軽減される税優遇措置は、今後も継続されます。
  • 令和7年度からは、手続きの簡素化や不正防止措置の強化など、企業がより利用しやすく、信頼性の高い制度へと改正されます。
  • 節税効果だけでなく、CSR活動やブランディング、地域との連携強化など、中長期的なメリットが大きい制度です。

制度の延長と改正は、企業にとって地方創生への貢献を通じて自社の価値を高める大きなチャンスです。この機会に、自社の経営戦略や社会貢献活動の一環として、企業版ふるさと納税の活用を本格的に検討してみてはいかがでしょうか。